Blog
2022/07/29 06:07
「ポバティ」とは、「貧困」のこと。
この作品は、2007年に開始し2011年に正式設立された「ポバティキュア」という貧困削減に向けて活動する人々の国際的連携を目標とするプロジェクトから芽生えたそう。
予告だけを観ても、そこには「知りたくない現実」が描かれていると、なんとなくわかります。
私は、音声プラットフォームのvoicyが好きで、毎日いろんな方の配信を聴いているのですが、
その中で「旅で世界とぶつかり稽古」の坂田ミギーさんが37回目の放送で語っていた話がまさにそれで、、
ここで繋がったことにちょっと驚いています。
エシカルアパレルの代表を務める坂田さんがケニアのスラム街に暮らす子どもや女性たちをサポートする活動もされており、定期的に訪れるそうなのですが、そこには、先進国から使わなくなった古着が援助物資として大量に運ばれてくるのだそう。
一見良いことのように思えますが、それがケニアの縫製業を衰退させる原因になったというお話でした。
映画の内容と共通して思ったのが、日本に暮らす私たちが現地で直接彼らとコミュニケーションをとる機会などそうないわけで、間接的な情報しか得ていないんだ、ということ。
あたりまえのことですが、、
でも、自分はそこに考えを巡らそうともしていなかったことに、少なからずショックを受けます。
とはいえ「だから寄付は無意味」という短絡的な話では、もちろんなくて。
「助けたい」と思って起こす行動がどうあるべきなのかを、過去の経験から知ることができる。
支援とは、「どのように分配し、いつ引くか?」までデザインして初めて意味を成すものだと、少しでも多くの人が知ることはやっぱり意味のあることだと思います。
ハイチのコーヒー
Photo by justin heap on Unsplash
内容には詳しくは触れませんが、この映画にはハイチの事例も出てきます。
せっかくなので、ハイチのコーヒー産業について少しご紹介したいと思います。
ハイチは、カリブ海に位置する島の一部で中南米で最初の独立国として知られています。
ハイチがフランス領だった1725年にマルチニーク島から最初のコーヒーが持ち込まれ、1750年から1788年まで世界の50~60%を生産するほどコーヒー産業は発展しました。
1804年の独立後、コーヒー産業は奴隷の解放と国際社会での孤立などが原因で急激に落ち込みましたが、さらに回復と低迷を繰り返し、1940年代に3度目の好景気が訪れます。
しかし、その後は80年代までの独裁政権や国際コーヒー協定の廃止、生産者組合の破綻などによって衰退の一途を辿ることに。
これに、2010年のハイチ大地震が追い討ちをかけます。
2000年に700万ドルだったコーヒーの生産高は、2010年には100万ドルにまで激減しました。
大地震後、さまざまなNGO(非政府組織)等により支援が行われましたが…
その後のハイチの様子については(コーヒーに限らず)、ぜひ映画をご覧いただきたいと思います。
(c)PovertyCure
一時的な支援ではなく、消費者として
ハイチ産のコーヒーのトレーサビリティについて、私が今回参考にした書籍では、
" ハイチには単独でコーヒーを売る農家はない。ハイチで生産したコーヒーは、ほぼ国内で消費されてしまうため、輸出に回る量はほんのわずかだ。"
(引用元:ビジュアルスペシャルティコーヒー大事典 2nd Edition / ジェームズ・ホフマン著 / 日経ナショナル・ジオグラフィック社)
という説明がされています。
日本では必ずしも手に入りやすいコーヒーではないかもしれませんが、ハイチにとって主要作物の一つであるコーヒーが国の経済を支える牽引役を担っていることは間違いないはず。
私は、まだハイチ産のコーヒーを飲んだことがなく風味の感想などをお伝えできないのですが、応援するという意味では、結局「その土地で生産されたものをお金を出して購入する」ことが、シンプルで長期的に彼らを支援することにつながるのだと思います。
この映画を機に、ハイチ産のコーヒーにも注目する人が少しでも増えることを祈っています。
ちなみに、、
2010年のハイチ大地震の際には日本も主要援助国として、自衛隊施設部隊をハイチPKOに派遣しています。
さらに、ハイチ大地震以来、2019年3月末までに総額3.2億ドル超の復興・開発支援を実施しているそう。
(参考:外務省 )
それが、現地のハイチ国民のその後に、どんな影響を与えているのか…
この映画から推察することができそうです。
どんなことも俯瞰的にいろんな角度からみたり、行動するきっかけにもなりそう。
これから起こる未来の自分の行動が、然るべきとき、そこにつながるかもしれません。
お盆、真っ只中の上映ですが、ご興味持ってくださった方はぜひ!
お待ちしています。
▷勝手におすすめ:坂田ミギーさん「旅で世界とぶつかり稽古」
ーーーーーーーーーー
CINE ARCO IRIS
上映情報
ーーーーーーーーーー
映画「ポバティー・インク ~あなたの寄付の不都合な真実~」
(2014年/アメリカ/91分)
■日時:8/13(土)10:30 ~ 12:05
■場所:NIJIYA coffee
■入場料:1,200円 / 人
■参加方法
事前にチケットをご購入ください(4名さま限定)
⇨ https://cai3povertyinc.peatix.com/
■その他
・シネマご利用の方はドリンク10%引き
・お飲み物の持ち込み可(食事、おやつなど食べ物は不可です)
【 公式サイト 】
http://unitedpeople.jp/povertyinc/
(c)PovertyCure
【About the film】
「貧しい気の毒な人たちのために手を差し伸べよう」「彼らは無力で何もできない」
そんなイメージを謳い、繰り広げられてきた営利目的の途上国開発は、今や数十億ドルに及ぶ巨大産業となっている。その多くの援助活動が失敗に終わり、援助の受け手がもともと持っている能力やパワーも損ないさえする。
私たちの「支援」がもたらす問題は?正しい支援のあり方とは?途上国とどう向き合うべきなのか?ハイチやアフリカを主な舞台に、“支援される側”の人たちの生の声を伝えるドキュメンタリー。
配給元:UNITED PEOPLE